建築学科攻略サイト

凡人が建築学科をスムーズにクリアしようと試みるために作ったサイトです。「攻略したぞ!」という過去形ではなく、「攻略できるかな?」というニュアンスです。
正確には、建築学科(を)攻略(したい人の)サイトです。
自分が建築学科出身で、今いろいろと仕事をしている中で、実際の現場を見て思ったこと、感じたことなどを、建築学生時代の経験に絡めて書いております。
よろしくお願いいたします。
 

過去ログページ


2015年08月19日

後輩からの電話

こんにちは。



最近は暑くて頭がボケて来る頃かと思います。



僕は昨日、とある会社の経営者とご飯を食べていました。
奢りと言うこともあり、ずっとお酒を飲み続けて、良い気持ちで家に帰りました。



家に帰ってから、自宅の映画室で映画でも見ようと思い、普段PCに繋いでいる外付けHDDを映画室に持ってきて、Blue-layデッキに繋ぎました。



さて、何を見ようかな・・・?



と、Blue-layデッキをしばらく操作していたところ、突然画面に警告画面のようなものが出てきました。そして、何も考えずに、「OK」ボタンを押すと・・・



あれまぁ・・・



外付けHDDが初期化されてしまいました。|д゚)



もうね、暑さとお酒で頭ボケてるしテンション高いし、防音室ということもあり、大絶叫しましたね。



HDDの中には、よくお世話になっているDMMやらなんやらで40〜50万円くらいつぎ込んだAVの大群や、大学生のころから何度も何度も繰り返して見て勉強していた講演会やセミナー動画・音声教材等、これも多分100万くらいかかってると思うのですが、とにかく、大事なデータが死ぬほど入っています。



普段僕はほとんど写真を撮らないのですが、その数少ない写真も消えました。

デザインコンペのデータ・3Dモデリングデータ・高校と大学の資料等も全て消えました。

ちなみに、この「建築学科攻略サイト」のバックアップデータ・HTML等のコピー、記事のバックナンバー等も全部入っていました。



そして全部消えちゃいました。・・・笑



急いで、HDD復元ソフトを購入し、今は復旧の真っ最中です。
果たして復元するのかどうか微妙ですが・・・。



まぁ、復旧しなかったらしなかったで、これは天が僕に



「断捨離の時期なんだよ〜、もう一度リセットして、新しいことを始めなよ〜」



と、伝えようとしているんだぁ〜ってあきらめようと思います。



なんとなく悲しいですが、やってしまったものはしかたが無いので。



さみなさんも暑さと酔いによる頭のボケには十分注意してください。莫大な時間をかけたものが一瞬にしてぶっ飛ぶ危険がありますので・・・。



まぁそんなこんなで、機嫌よく楽しく毎日を送っているのですが、ボケ防止も兼ねまして、先日、古い後輩と電話でお話することがあり、その時に感じたことを、今の建築界隈に絡めて少し記事でも書こうかなぁと思います。



記事を書く前に簡単に状況を説明しておくと・・・



僕は建築学科の意匠系研究室を出て、構造系の大学院に行き、今は不動産業界で仕事をしています。
で、後輩の彼は、建築学科の意匠系研究室で大学院まで行き、今はアトリエで働いています。



で、彼との電話の中で



「仕事って取ったもん勝ちですよね〜。どんなに良い技術があっても、どんなに良い作品を作れても、どんなに一生懸命考えて勉強をしても、現実の現場では、まず仕事が取れないと何にもならない。逆に、仕事が取れさえすれば、極端な話、どんなにダメな作品でも、どんなに良い作品でも作ることが出来るし、それで生活が成り立つから、次の仕事も探せるんですよね〜」



と言っていました。



これは、僕も学生のころから実感しており、今も強く実感していることです。



学生の頃、僕は紙面・フライヤー・ポスター等のデザインをしていた時期がありました。
その時、僕は何の資格も持っていないですし、何の実績も無かったですし、何か特に人よりも優れていたとも思いません。



ただ、友人の知り合いが社長をやっており、



社長「今うちの会社のポスターとか広告を考えてるんだけど、どんなのが良いかな?」
友人「どうかな〜。あ、そういえば絵がうまい友達がいるけど〜」
社長「え、それならうちのポスター書いてくれって頼んでくれる?」
友人「良いよ〜」



という具合で、何故か僕が紹介されたわけです。



で、何枚かサンプルを送ると



「良いんじゃね?」



ってなって、何故か仕事になっちゃったわけです。
その時、僕は学生でしたが、月収で30万か40万くらいあったと思います。



バイトせずに人から米とかもらって、カップ麺で生活してた僕からしたらびっくりするくらい有難いお話です。



大手広告代理店とか、広告専門業者的な人達がすごい技術でデザインして、すごい斬新なアイデアを競って仕事をしている中で、僕みたいな大学生の素人でも仕事が出来るわけです。



多分、大手広告代理店と、僕が作った紙面を比較すると、大手広告代理店のほうがよっぽどかマシでカッコいいものを作るはずです。



けど、仕事を出す側の社長は、偶然にも僕に仕事を振っていたので、広告代理店はその社長から仕事をもらえず、結局のところ、その社長に素晴らしい技術やデザインを提供することが出来なかったのです。



それはそれで、なんだか悲しいですよね。



プロとして技術を磨いてきたのに、素人に仕事取られるわけですから。



それでも飯が食える大きい会社ならこんな小さい仕事なんてどうでもいいかもしれませんが、小さい規模のデザイン会社だと、こういう1件で飯食えるか食えないかの世界でしから、そりゃもう大事ですよ。



で、建築業界は今、仕事があふれている人と、そうでない人の2極状態で、一方は仕事が沢山あって、一方は全く仕事が無い状態だと思います。



建築業界というものは、市場規模が大きいし、飽和しているように見える日本ですら、まだまだ沢山の仕事があります。



けど、かつて新建築や住宅特集に掲載されていた実績を持つアトリエでも、全然仕事が無くて、新しい敷地に建つ何の知識も無い住宅の営業マンが設計したハウスメーカーが作る規格住宅を見て



「この敷地には、もっと合うヴォリュームがあって、もっと豊かな要素があって・・・、敷地のポテンシャルが云々かんぬん・・・ハードとソフトが云々かんぬん・・・」



と、こうすれば、ああすればよかったと愚痴を言い、それを大学の教壇で生徒達に話して小銭をもらうという生活を送っているわけです。



その一方で、その規格住宅でとても豊かな生活を送れるクライアントが居て、建築なんて何も知らない営業マンがお客さんに感謝され、また紹介をもらって家を建てているんです。



そこに疑問を抱いた後輩が、僕に連絡をしてきたということです。



この感覚って、建築界隈とか、特にアトリエなんかに居ると、崇高な建築が否定されて、工業製品的な建築がバンバン建っていく現実に対する怒りとか、嫉妬でなかなか気づかないと思うし、ほとんどの人は



「クライアントは分かっていない!」
「クライアントの質は下がっている!」




とか言ってしまう人なので、そうならずに純粋に疑問を感じたその後輩はなかなか優秀だなぁと思ったのですが、今は本当にこんな時代だと思います。



この前、Twitterで頭の悪そうな人達に絡まれてとひと悶着あったのですが、国立競技場のことだって一緒です。

※国立競技場については、ある程度言いたいことは描いているし、また頭悪そうな人に絡まれるのも面倒くさいので、もう書く気無いので、なんのことかわからない人は僕の過去の記事なりツイートを読んで頂ければと思います。



デザインというのは、言葉から生まれてくることもありますし、現実から大きくかい離したところに崇高さがあったりしますし、現実との接点が無くても人の意識の中で成り立っていたりします。



けど、僕は美しいデザインというのは、ありえないくらい抽象的で、見えにくいもので、実態が無さそうに見えるものを、現実世界の物体や物、味とか空気とか匂いとか、そういう誰にでも感じることの出来る要素を使って“表現できた”ものだと思います。



決して



“表現したかった(けど表現できなかった)”



ものでは無いです。(僕の持論ですけどね。)



デザイナーの力と言うのは、あまりにも自由すぎて拘束力のない物を、強い力をもって、現実世界という小さいハコに押しこんだり、自分の思い描く形に変えたり、そういう力だと思います。



それ以外は妄想と自己満足の世界の中に存在していればいいと思うんですよね。



結局、ザハのアイデアが実現しませんでした。
で、ザハの案とは程遠いダサい建築物が建ちました〜



ってなった時、僕はザハの案よりも実際に建った案のほうが崇高なものだし、日本という国の中ではうまくできたデザインなんだと思います。



サスティナビリティが・・・
とか、開閉式屋根で出来るイベントの幅が広がり、それで日本経済を・・・



とか、そんなの関係ないです。



第一、そこにそれだけの自信があって、100%に近い確率でそれを言いきれるなら、高配当でファンドを配れば、頭のいい投資家は必ず買うので、資金問題なんて出てきません。



ハウスメーカーの規格住宅と建築家の住宅を比べる気も無いですが、実際に存在していて、人が住んでいる家と、建築家が模型で表現したカッコいい住宅があれば、実際に住宅としてクライアントを喜ばせているのはハウスメーカーの規格住宅だと思います。



で、なんやかんやでそういう話を長々とした後に、後輩は続けて



「ハウスメーカーの営業力が欲しいですね〜。結局、仕事を取れれば後は”良いと思う物を作るか作らないか”の主導権は自分にあるわけですから・・・」



と言っていました。



これ、ぼくが大学の時に彼に散々言ってたんですけどね。
彼は今になって実感し始めたらしいです。笑



結局、僕が不動産業界に行ったのは、何年か前からリノベーションが主流になったっぽく見え始めたからです。



あれを見て、



「古い物を再生して新しい価値を生み出す」
「これからはストック活用の時代だ」



とかアホなことを言ってる人が沢山いましたが、僕はあれは結局日本が「立体的な更地」に近くなっただけだと思います。
日本の土地の法律はややこしいですし、利用方法も制限されます。



少し前に震災があった時、建築家たちが復興案を持って現地を回っているのをテレビで見ました。



全く的外れな復興案だなぁ・・・



と、あきれた記憶があります。



だって、ベースの法律が違うんですから。
区画整理をベースにしている行政に対して、そもそも成り立たない復興案を持っていっても、前提が違うでしょう・・・と



卒業設計のイベントとかで配布される「建築家の復興案」的な本を手にして



これは素晴らしい!



と感嘆している大学生を見て、



あ〜馬鹿なんじゃないのかなぁ・・・と思った記憶があります。



そういう疑問が沢山あって、色々考えた結果、僕はどちらかというと僕はこれからの日本は特に新築(に近いもの)の時代だと思うようになりました。



けど、建築の技術ばかり追ってきた建築教育の人たちは、場所とか土地を見つけることが出来なかったんだと思います。



だから、優秀な建築家は移民の如く海外へ行って新しい場所に建物を立てています。



リノベーションの波に乗っているようで、ちゃんと頭使って考えている人は、リノベーションっていう名前を使っていますが、どちらかというと細かく見れば新築に近い事業をやっています。



で、その前提にある不動産業で、販売のノウハウも得られるし、現場も見れるし、お客さんと直に話が出来るということで、僕は不動産業に行きました。



不動産業に入れば分かりますが、このクソ儲かっていない建築家たちが思っている以上に、建築の仕事になりそうな要素なんて日本にはまだまだ山ほどあります。



地面を世話すれば、建物が必要な場合が多いです。
その建物は、土地とか地面に詳しければ詳しいほど有利になりますので、ついでに設計の仕事も出来ます。
建築雑誌にとかTwitterのプロフに、ななめ上を向いて横から撮影した写真を載せて、輝かしい(風の)経歴を載せて、カッコいい建物と模型のプロジェクト写真を載せてPRしなくても、



A:「住むところが必要なんで、土地欲しいんですけど〜」
B:「そうですか、じゃあここなんてどうですか?」
A:「じゃあ、ここでお願いします」
B:「ここだとこんな感じの家建てるとよさそうですが、どうですか?」
A:「いいですね、じゃあお願いします。」



これだけで、設計の仕事が取れます。



僕は建築士の資格持っていないですし、必要だとも思ってないので、基本設計をしたら、あとは設計士に任せます。(ただ、実施で微妙な雰囲気になると文句を言います)



建築士持っていても仕事がとれないから、飯食うために安く働いてくれる優秀な人なんて沢山いますからね。


さて、建築学科でデザインのすばらしさを学んだ学生は、いったいどちらの立場を目指しているのでしょうか。



お客さんとダイレクトに話をし、一緒にエスキスをして設計図を書き、一緒に現地を見て建築を考えていく不動産業者





その不動産業者から渡された基本の設計図を実施図面に書き直す”作業”をする建築家。



不思議なことながら、現実を見ると不動産業者のほうが建築に近いことをやっているではあ〜りませんか。



それなので、僕は不動産業に見えて、けっこう建築に近いところにいるんだと思います。
それもこれも、今はもう昔の時代から大きく変わりつつある微妙な時代だからだと思います。



それは、こうなってほしいとか、こうしたいとか、そういう個人の願いに関係なく、社会の構造的にやってくる未来です。



毎日ルーティンの作業をこなし、時間を浪費すれば金がもらえると思っている教員免許を持っている学校教師と、教員免許は無いけど、Youtubeで質の高い授業を好きなようにやっているユーチューバーなら、どちらが本当の教育者ですか?


「これからの建築家は建てないのが斬新でカッコいい」みたいなことを言って、絵本を書いている人と、暇だから家の増築を自分でやっているその辺の定年退職したお父さん、どちらが建築をやっている人ですか?


市町村から呼ばれ、地方で誰も見に来ない個展開いて、市から補助金もらって成り立っている芸術家と、描いた絵をTwitterでアップするごとにすごいシェアされ、人の心を動かすことのできる素人だったら、どっちが本当のアーティストですか?



どっちが本質的に仕事をしているのか一度考えてみて下さい。今はこういう変な時代です。
※ちなみに、僕らみたいな平成生まれの親に聞くと、ほぼ「それは教員免許を持っている方が教師だろう」という答えが返ってきます・・・。笑
僕の親は「どっちでも良いんじゃね?」という回答でした。



今までのいろんな物が崩れたり再生したり、価値を失ったり価値が生まれたり、いろんなものがリセット(厳密に言うとリセットでは無いけど、ニュアンスが分かりやすいからリセットっていう言葉にしておきます)されています。



昔はかなり見えにくかった変化も、今は分かりやすく見えています。



ここまで簡単に見えるということは、誰にでも分かりやすいということなので、対策がしやすいということなのですが、分かりやすく見え始めたということは、変化がもう成熟してきているということです。



成熟しきると、さすがに乗り遅れた感が半端無いですし、その後対策をするというは、ライバルも多いし、なんか理解しにくいし・・・かなり大変なことです。



ただ、まだ今はそこまで難しい時期でもないかと思いますし、話をした後輩も、最近やっと色々始めたみたいですので、こういう機会に、色々と疑問を持って考えて行動してみて下さい。



それでは!



posted by makku at 20:29| Comment(0) | 建築業界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする